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2023年に勤務先の小学校で古代米をバケツで育てた。
私は2021年の12月から長崎の学校で英語指導助手として働いていた。でも、本当は農家になりたいと思っていた。そのため、できるだけ早くに農業の経験を積みたかった。長崎地方で経験できるイベントを探したら、長崎ペンギン水族館で、田植え体験ができることがわかった。
この水族館には、ビオトープという自然豊かな空間がある。ビオトープの中の小川の一部は田んぼになっている。ペンギンが好きな方もいるかもしれないが、私にとっては水族館よりこの自然を感じられるビオトープがいい。
ペンギン水族館ビオトープの案内図とビオトープ棚田の七月の様子。
6月3日に田植え体験に参加した時に、まず気づいたのはこのエベントが子供向けだということだった。幼稚園児から小学生までの子供たちが長靴を履いて田んぼに入る準備をしている時、係の人が田んぼに植えるための苗を準備していた。私は他のALT 二人 と一緒にしばらく待って様子を見ていたら、小っちゃい子たちがゆっくりと土に苗をさし始めていた。たまに泥に落ちそうになっている子供もいたが、親の手を引っ張ることでバランスを取り戻せていた。愛おしい光景だったけど、その日知り合いの農家から連絡が入って、彼も田植えする予定だということだったので、早く何本か苗をさして、彼のところに行きたい気分だった。しかし、子供達がもちろん優先だから、困ってしまった。
このビオトープでの田植え体験は少し独特だった。そもそも一般的な田んぼじゃなくて、小川の一部なので水が自由にちょろちょろと流れているところだ。それにこの田んぼで栽培されているのは一般的な米(例えば長崎でよく栽培されているヒノヒカリやニコマルなど)じゃなくて、もち米と三種類の古代米という、昔から日本で栽培されてきた赤米、黒米、と緑米というより自然に近い米。持続可能な農業に関係ありそうだった。とりあえず育ててみたいという思いで、「苗をもらっていいですか」と係の人に聞いたら、係の人は袋まで用意して、苗の何本かを分けてくれた。その人にはとても感謝している。その後、知り合いの田んぼへ行って苗をいっぱい植えることができた。
緑米の苗トレー
苗が手に入った!けど、私のアパートのベランダは風通しわるいし、日が当たらないので、ベランダで育てるのは難しいと思った。そこでひらめいた。学校で育てばいい!きっと稲に適している場所があるはずだ。それに、子供にも体験をさせることができそうだ。
バケツ設定・植え方・子供参加
三日間の間にビニール袋に入れた苗が少し弱ってしまっていたので、一刻も早く土に入れたかった。学校の用務員の人に相談したらもう使わないアルミの給食用のバケツをくれた。早速、学校の草地から土を掘りだしてバケツで水と混ぜて苗を安定させた。
まず、全部の苗をバケツ一つに入れて、数日間、準備と他の先生と相談をしたりした。六つのアルミのバケツに苗を分けた。その時には二つの小学校に通っていたので、それぞれの学校に三つずつバケツを置いた。今回の話は今でも行っている学校Aの話だけど、もう一か所の学校Bは一学期だけ行っていたので、写真が少ないが、そのことは今度ブログに書く予定だ。
本数をちゃんと数えていなかったけど、それぞれのバケツの苗が同じ数の苗になるようにしたかったので、一応バケツに同じぐらいの大きさの株を植えることにした。
お米の苗を試しに育ててみるだけだったら、これでも大丈夫だと思ったけど、最終的には子供たちに食べさせてあげたかったので、もっと収穫できるように、稲の株数を増えるためにバケツを買いに行った。
最初、ナフコに行ったけど、安くても500円ぐらいのバケツしか売っていなかった。それで隣のセリアに行ってみたら、10リットルのバケツが100円だったのであのセリアが持ったバケツの全部を買った。学校Aはバケツ合わせて八つになった。
三つのバケツに分けた時から13日間後に苗が大分元気になってきたので、さらに八つのバケツに分けた。今回は子供に体験をさせてあげることができた。子供に土を掘ったりバケツで水と土を混ぜたりしてもらったが、面白かったのは虫におびえていた子供とガンガン土と虫を触っていく子供がすぐに分かれたことだ。
子供にバケツに苗をさしてもらった後は何本かの苗が残った。私はもったいないと思ったので、実験として学校の畑の隅に植えた。水田ではなく畑に植える稲である陸稲(おかぼ)は昔から日本や他のアジアの国々で栽培されてきた。水田で植えた稲に比べて収穫量が少ないが、水の少ない高地などには適している。
まだ苗である時は赤米、黒米、緑米、三つの種類の苗を目で見分けることは不可能だと思う。だから、最初にバケツに植える時点で、どの種類の苗をバケツに植えのかがわかるようにラベルに名前を記入して、バケツの中の土にさした。しかし、もっと可愛く小学校に合うようなラベルにしたかった。同時に私は子供たちの興味を高め、バケツ米への思いを強くするために、子供たちにラベルに絵を描いてもらおうとしていた。全校児童の何十人にラベルの絵を描いてもらって、その中から可愛いと思ったバケツ米に合う絵を選んだ。
ここで言っておかないといけないのは、最初ビニール袋でもらった時に、米の種類を間違えてしまったことだ。それによって、ラベルの表示と本当のお米の種類が違ってしまった。赤米は合っているけど、黒米と緑米のラベルの表示が逆になってしっている。
米を作る時には、収穫などの作業のタイミングがわかるように田植えが終わった時からの日数を数えることが大事だ。私は苗を何回か移動させたので、移動が終わった時点から数え始めることにした。そうすると、2023年06月20日が0日目となる。この時から稲は元気にどんどんと大きくなっていった。
稲が大きくなる。
24日目には、虫が現れた。
私は日本でナナフシを見たことがなかったのでびっくりした。このナナフシが米の葉っぱを食べに来たかどうかについてはわからなかったけど、小学校の低学年の子供たちがちょうど虫を集めていたので私はナナフシを捕まえて子供たちにやった。ナナフシはさすがに大人気だった。
次に見たのは上の写真のような青虫みたいな虫だった。調べてみたらコブノメイガというガの幼虫のようにと思えたけど、はっきりとはわからなかった。この虫がまだ小さい時に退治すると、稲に害が少なかった。
案の定、バッタも出てきた。バッタは間違いなく米の葉っぱを食べに来たと思ったので、さっそくその場で手で退治した。夏の間にはバッタや青虫が頻繁に出てきたけど、見つけるたびに退治するしかなかった。私が学校の先生たちに虫が現れたとさりげなく伝えたら、先生たちは心配そうに「どうしよう、殺虫剤まきますか?」と言った。植物はどうしてもある程度虫に食われるものなので、私はこのレベルで殺虫剤を使うというのは頭がおかしいと思った。しかし先生たちは私の力になってあげたいという気持ちで言ってくれたので、先生たちが心配してくれて嬉しかった。
もしかして、普段から農業をしたり、自然に触れたりしない人にとっては、虫が現れたってことは、異常なできごとなのかな?
畑に植えた稲が、バケツの稲より虫によってさらにひどい目にあっているだろうと思って見に行ったけど、実際には虫はそんなについていなかった。しかも私が周りのイネ科の草をみて見ると、虫害があった。もしかしたら、虫たちにとっては、稲より他の草のほうが美味しかったのかもしれない。
畑の稲は私が水やりを頻繁にしたおかげで、かなり元気そうだった。
その次の週には、また田んぼでよく見かける虫がいた。それはウンカという虫だった。ウンカは簡単にいうとストローの形の口をしている虫で、植物の茎や葉っぱの中に流れている甘い液を吸う。私が写真のウンカを調べたら姫飛びウンカに少し似ていると思ったが、よくわからない。
このぐんぐん伸びる時期の間は、作業が少ないが、定期的にバケツ稲の観察を行うことが大事だ。とくに水やりが最も重要だ。少しでもサボると稲が枯れてしまう恐れがある。
次回のブログでは、稲の出穂について書くつもりだよ!書いたら是非見てくださいね。
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